一宮館文庫第2号より



◇水の煙  梅津 鳳舞

わたくしはここにいます
ひとに与えれば与えるほどに
こころも財も乏しくなりて
ゆきつくところは土のうえ
何もいわずに一千年立ったまま
睡蓮の花二百ながめる
そのむこうには南瓜の畑
蝶々の図、五匹ひらひらと
やがてまもなく竹のはる
わたくしはここにおります
わたくしが笛を吹いたら
おどってくれますか
ひとはおもいのままならず
つながぬならはなしておやりほととぎす
「いやじゃ、いやじゃ」
あああ、笛を吹こう
となりの村にきこゆるまでに
わたくしはここより動けぬゆえに



▲前へ